CDリリース情報 Last updated 2017-02-04
2012年2月14日発売開始
F.Listz:「巡礼の年報・第3年 (S163)」全曲
小倉絵里子
DPIC-0003 JAN:4562353370026 国内定価2000円
誕生・運命・敬愛・そして、惜別と死。避けられぬ「人の定め」を綴ったリスト渾身の傑作。演奏は、2012年に再び活動の拠点がフランスとなる小倉絵里子。
折しも「フランス」の異名を持つ本作で、日本での第一演奏活動期のクライマックスを飾る彼女渾身の出国第一作。
人生の終盤にあり、宗教的な響きと偉人へのリスペクトを音楽で再現するべく、フランツ・リストの精神世界を最も良く表したと言われる傑作を、日本での第一活動期のクライマックスを飾るに相応しい、耽美で厳格たる響きで表した渾身の一作。2012年2月14日発売予定。
アーティストの詳しい情報はこちらです。
■リリースノート ディーピック・エンタテイメント 制作統括プロデューサー鈴木俊行
今回、「巡礼の年報」については、F.Listzの生誕200年に併せて日本の若手実力派のアーティストを3人フィーチャーして3つのシリーズを完成させようと考えていた。第1年は桑原怜子が担当し、第2年も男性の若手アーティストで収録をしている最中である。そしてこの今回、「巡礼の年報」については、F.Listzの生誕200年に併せて日本の若手実力派のアーティストを3人フィーチャーして3つのシリーズ第3年、曲についてはこのCDを手に取って下さった各位の方が詳しいと思うのでここでは論じないが、リストの晩年の作品として出版された本作は、生誕、運命、敬愛、死、という、誰もが免れることが出来ない人生の「隣り合わせ」の部分を音楽家の本能で表した作品だと考えている。身近であるが、非常に意義深く、そして難解なテーマである。問題はこの難解なテーマを誰に担わせるべきか?、これが私にとって重要な関心事であった。恐らく人が人らしくあることを音楽で語れる奏者が良い、と考えていたが、その奏者はすぐに思いついた、それが小倉絵里子である。
実は彼女とこのCDの間には、皆にいつか話そうと思っていたとっておきの話がある。彼女が私のファームに応募してきたときのオーディションの音源(応募直前に開催された演奏会の録音だった)が、必ずしもオーディションに相応しい演奏の音源ではなかったのだ。が、不思議なことに、私は彼女の演奏を一聴してそれをただちに落とそう、とは思わなかったのだ。
何でもそうなのだが、人間が何かを果たそうとしたとき、体調とか機嫌とか、そういうもので得られる結果が変わるということはよくあることだ、後で判ったことだが、たまたま送られて来た音源がそういうものだったが、長い経験で培われたものというのは決して裏切らないもので、合格させる理由もなかったが、不合格にする理由もなかったわけである。結局落とす理由がないので採用したが、後日彼女の演奏を目の当たりにして、彼女が真に実力を持つ奏者であることを知った訳である。たまたま彼女は「人間が演奏する」というところに、非常に正直な奏者だったのである。
2012年、日欧で活動する彼女の活動の拠点は再びフランスに移る。折しも「フランス」という異名を持つこの作品を、彼女の日本での最初の活動期のクライマックスに収録することが出来たことは制作者として誇らしく。今改めてそのときの彼女の音源を聴くとこのCDに繋がる運命の悪戯を感じずにはいられない。次の一時帰国の収録が、また楽しみとなった次第である。